simoun

PS2用ゲーム「シムーン 異薔薇戦争~封印のリ・マージョン~」6月21日発売に向けて、一足早くスタッフ、キャストがゲームを体験。「シムーン」スタッフブログでもおなじみのゲーム宣伝担当マーベラフ氏が、「シムーン」関係者にゲームを体験してもらい、率直な感想や思い入れを聞き出しちゃいます!  制作や業界のキケンな裏話が飛び出すかも……?

[ 第1回 ] [ 第2回 ] [ 第3回 ] [ 第4回 ] [ 第5回 ] [ 第6回 ]

蔵出シムーン~ゲーム編 第6回 ゲーム体験レポート 辻谷耕史(アニメ・ゲーム『シムーン』音響監督)

では、お名前を教えてください。

辻谷:フェロモン・ヤコフ・高橋です(笑)

マーベラフ:フェロモンさんキター! 「電波DEリ・マージョン」ファンにはわかると思いますが、それ以外の方はご存じないと思うので、分かりやすい名前でひとつお願いします(笑)

辻谷:そうだよね(笑)。音響監督の辻谷耕史です。

性別は?

辻谷:男です。

所属は?

辻谷:アルクス・プリーマ管理人です。

ゲーム化に関してどう思いましたか?

辻谷:とりあえず、早くやってみたいと思いました。自分のかかわった作品がアニメーションとかそういったものとかではなく、ゲームという別のメディアにかかると、どういうものになるのかというのが楽しみでした。

プレイ前の意気込みをお願いします。

辻谷:素敵なイベントが見られるところまでいきたいですね。

マーベラフ:頑張ってください!!

~辻谷さんゲームプレイ中~
ゲームはまったくしたことのないという辻谷さんですが、開始からかなりハイスピード!

辻谷:(キャラのセリフを全部聞き終わる前に)はい。

マーベラフ:えぇぇ!! ボイス飛ばしましたよね!?

辻谷:え? だって自分で収録してたんだし、覚えてるから聞かなくても大丈夫!

マーベラフ:覚えてるんっすか!! すげー(汗)

辻谷:いや、それにしてもキャラの性格ちゃんとでてるね~。いい感じ。

マーベラフ:あ、ありがとうございます!(す、すげー。ゲームまったくやらないのに、落ち着いていろんなところ見てる!!)

~いよいよ辻谷さん戦闘へ!~
さすがに戦闘は苦戦するだろうと思っていたのですが……あまかった(汗)

辻谷:なるほどね、これは頭使うねー。

マーベラフ:そうなんですよ~。全員を生きて戦闘を終えようと思うと頭使います。

辻谷:そうだね、これ単身で敵に行くと後半敵が強くなってくるとやられちゃうね。  しかも、後半は敵がたくさん出てくるからどこにどのシムーンを向わせるかとか、後方支援とか色々考えないとやられちゃうね。

マーベラフ:そ~なんです!(カビラ風に)って、ゲームあんましやらないのにコツつかむの早いですね!(驚)

戦闘開始当初は手間取りつつも、中盤以降はちゃんと戦略をたてながらシムーンを操っていきました!
そんなこんなで、ゲーム体験が終了したところまでは予定通りだったのですが……

辻谷:マーベラフ君、今日はこの仕事終わったら終わり?

マーベラフ:え? ちょっとだけ残ってますが、すぐ終わりますが……?

辻谷:よし、じゃあ飲みに行こう!

マーベラフ:え? ゲームプレイ後の質問が残ってるので、それ終えてからでどうでしょう?

辻谷:なに言ってるの、酒が入ってた方が本音が出るし、時間も気にしないでしょ。大丈夫、面白くなるから!(笑)

マーベラフ:どっしゃー!(笑)

なんと、後半のインタビューを残したまま、居酒屋へ!

~都内某居酒屋~

マーベラフ:えー、まだ途中ではありますが、とりあえず「乾杯のリ・マージョン!」ということで、乾杯!

辻谷:乾杯!

~数時間経過~

えー、本当に居酒屋へ来てしまいまして、だいぶ酔いが回り始めてきましたが、ゲームをプレイしたごかんしょう(ご感想)をお願いします。

辻谷:呂律が回ってないよ(笑)

マーベラフ:すみません(苦笑)

辻谷:最初ね、やり方がわからないのでちょっとわずらわしさを感じたけど、ストーリーを進めていくうちに、この先がどうなるのかすごく気になって、今日は第2章までしか出来なかったけど、もっとやってみたくなったな。

マーベラフ:ありがとうございます!

辻谷:やっぱ、第2章あたりで戦闘に慣れてきてからは楽しくなってきた。升目の移動に苦戦したけど、これになれちゃうと面白いのよ。慣れちゃうと、ここに行ってこうすれば敵を倒せるってなるし、あとは「フォーメーション!」効率的に攻略するには6機のシムーンをどう升目に配置するかとか、なんというか、戦略なんだよね。

マーベラフ:そーなんです!(本日2回目のカビラ)戦略なんです、戦闘は。

辻谷:移動して攻撃というパターンの繰り返しの、ターン制って言うんだっけ? なので、移動のパターンや各シムーンの攻撃力とか考えて、この2人はこっちに行かせて、ここはとりあえず“おとり”にしておいて、まずこの敵を倒しに行き、このキャラは援軍に行かせてという発想を自分の頭でできるようになると、もう面白くなるんだよね。

マーベラフ:シミュレーションゲームなので、そういう感じではまってもらえると、うれしいですね。

辻谷:最初は戸惑うと思うんだけど、やり始めると頭を使うゲームで良いね。

マーベラフ:キャラクターもののゲームだと、どうしてもストーリー系というか、ギャルゲー的な感じに見えちゃうと思うんですけど、シムーンはストーリーは当然のこと“戦い”も重要なファクターですから、その辺はやっぱ入れ込まないとまずいと思ってプロデューサーも制作していましたので、それが伝わってよかったです。

辻谷:あ、そうだ戦闘時のパルの組み合わせは自由に変えられるって言ってたけど、今回、自分は王道パル(アーエルとネヴィリル)でやったけど良かったのかな?

マーベラフ:ええ、もう! 実は、今まで誰一人として王道パルでプレイしていないんで 最後らしく締まった感じでした(笑)

辻谷:そうなの? なら良かった。一応この2人で行こうと思って、ネヴィリル以外のキャラには嫌われるように選択肢を選んだからさ(笑)

マーベラフ:あはははは! 確かに選んでましたね~。今回のゲームでは、あえてアーエルを主人公(プレイヤー)にしました。新しく主人公となるキャラクターを作ってプレイしてもらう形にせず、プレイヤーがアーエルとなってシムーンの世界を楽しんでもらおうと思ったんです。

辻谷:なるほどね、アーエルがどういう風に動くのか、自分がアーエルならどうするかってことだね。

マーベラフ:そーなんです!(しつこいですが、カビラ風に3回目)

辻谷:この作品に対して、ファンの人はそれぞれこのキャラのが好きってあると思うけど、アーエルだけはきっとみんな否定していないと思う。だから、自分がアーエルとなって誰とこういう風になりたいっていうのが、うまく出来てると思ったなー。

では次の質問です、ゲームではオリジナルのリ・マージョンがありますが、自分ならこんな「リ・マージョン」を描きたい……というものはありますか?

辻谷:……(タバコを吸って沈黙し、考える辻谷さん)

マーベラフ:……(枝豆を食べつつ、ビールを飲んでいるマーベラフ)

~しばしの沈黙が続き……ついに辻谷さんの口が開かれる~

辻谷:……破壊のリ・マージョン。

マーベラフ:ぶっ!(ビールを噴出しそうになる) ま、またすごいですね。

辻谷:今までの関係性とか今まで築いてきたものを全て破壊して、例えばあるキャラとの好感度を逆転させてしまう感じがいいかな。

マーベラフ:えっ!? それはリアル社会でもですか?

辻谷:あのねぇ、うーん……(沈黙する辻谷さん)。破壊していくってことは大事なんですよ。

マーベラフ:確かに、破壊なくして創造なしって言いますからね。

辻谷:いいこと言うねー。あのー、なんていうんだろうな、すごく哲学的というか、なんか非常に変なこと言うんだけどさー、今年、俺45歳なのね。世の中には2つのタイプの人がいると自分では最近思っているんだけど、それは、年を取ることによって頑固になるというか、こだわって頑なになっていくタイプの人と、逆に年を取ることによって「ああ、いいんだ人間ってもっと自由で楽に生きれば」っていう風にスイッチが切替り、受け入れていく方向になるタイプの人がいると思うのね。

マーベラフ:なるほど。

辻谷:まぁ、その人のアイデンティティであって、どっちが良いとか悪いとか決められないんだけど、俺は前者の方なのね。だから、頑固で生真面目でこだわってしまうタイプなのに対して、すごく自分でジレンマを感じていて、どんどん自分の頭が固くなっていくのを破壊したいんだよね。だから、シムーンはものすごいこだわったんだよね。

マーベラフ:あー、だってゲームのアフレコのときも徹夜されてましたもんね。

辻谷:ああ(笑)。でも、監督の西村さんは、俺がバンバン「ああしたい、こうしたい!」って言ったのを「ああ、それいいね」って受け入れてくれて、しかもそれぞれの人の発想が面白ければそれを受け入れた方が、作品として広がりを持つっておっしゃっていたのを聞いて、俺もその境地にいきたいと思ったんだよね。だから、シムーンで西村監督に付き合えて俺はすごくいい物を得たし、こういう大人になりたいなって思った。俺はこうだからとか、俺はこういう人間だからとか、そういう頑なな考えを自分の中で破壊したいから「破壊のリ・マージョン」って感じ。

マーベラフ:なるほど!! これ、今までで一番熱いリ・マージョンですよ! 最終回らしくて最高です! いい話だ~(涙)

辻谷:でも、破壊するっていうのはすごい勇気のいることで、その勇気がないと前に進めないと思うんだよね。

マーベラフ:そうですよね、なかなか破壊するって難しいと思います。自分も破壊しなきゃいけない部分はあるので、考えさせられます。

いい感じのリ・マージョンを頂いたところで次の質問です。ゲームアフレコに起きたエピソードなどはありますか?

辻谷:ないねぇ~。

マーベラフ:えー!? なし?

辻谷:だって、役者さんみんな達者だったからなぁ。ただ、思ったのは、今回はゲームの音声収録が初めてだったんだけど、実際にゲームをやってみて、音声の微妙な“間”のあいだに文章を読み終えちゃうから、俺、音声を全て聞かずに飛ばしちゃったでしょ?(笑)

マーベラフ:ええ、確かにそうでした。

辻谷:なので、単純にゲームをやるなら次に進みたいわけであって、アニメの様に微妙な間とか演出をいれず、テンポ良く収録した方が良いかなと思った。あ、でもちゃんと音声を聞きたい人もいるから難しいところだろうけど。

マーベラフ:まぁ、でもテンポ良くセリフが読まれれば飛ばしちゃう人も、ちゃんとセリフを聞いてくれるかもしれませんね。

辻谷:この辺が実際やって思ったので、音響監督としての反省点かな。

マーベラフ:なるほど、難しいところですね……。

ではでは、最後にシムーンファンの皆さんへ一言お願いします。

辻谷:まずは、ゲームもそうだけどこの作品を愛してくれた人に感謝したいね。俺もこの作品大好きだし、キャラクターのことも愛してるし、これが自分の思ってる感覚で表現したいものでもあったので、クリエーターとして関われたことにすごく喜びを感じていて、それに共感してくれた皆さんは同志であり、貴重な方々だと思う(笑)

マーベラフ:そうですね、同志です。作品のスタッフもシムーンファンも同志! って感じですね。

辻谷:だね。そしてこれは詩なんだよね、ポエム。このポエムを感覚的に捉らえられる人は非常に感性が良い人だと俺は信じてる。なので、この作品を好きになった自分を否定しないでほしいな。よくブログなんかを見ていると、“自分は好きだけど他人に勧められない”って意見があったのね、でもその感覚はわかるんだよ。人の趣味思考はその人次第だし。でも俺は声を大にして「この作品が好きだ!」と言えることが誇りだと思っているので、シムーンを好きなことに誇りを持ってほしいなと思います。

マーベラフ:ポエム! ちなみに自分は誇りを持って「シムーン大好き!」って言えますね。じゃなきゃ土日出てまで仕事しません(笑)

辻谷:うんうん、結局ゲームの開発者もいろんなことを考えているわけじゃないですか。ゲームという世界の中に製作者はどういうことを入れ込みたかったのか、皆さんには探求してほしいから、クリアして終わりっていうだけじゃなくて、作った人間が何を考えて「なぜこういうものを作ったのか?」ということを貪欲に求めてほしいかな。例えば選択肢ひとつにしても、自分が思って選んだ選択であれば、「どういう風に物語が進んでいくんだろう?」とか、「この選択肢を選んだ時にこうなると思ったのに違う結果になった、それはなぜだろう?」といったように、もっともっと深く追求してほしいです。ゲームは容量もあるし、いろんな人の思惑もあるし、時間をかけてクリエーター達が苦労したものであり、壮大な物語なので、クリアしたからもういいやってならず、色々感じて多くのことを感じてほしいですね。

マーベラフ:最終回って感じの素敵なコメントありがとうございます!

辻谷:あ、最後になったけども、とにかくシムーンの合言葉は「見なくて(やらなくて)いいから買って」なんで(笑)、まず買ってください(営業しといたよ、マーベラフ君)。いやいや、とにかくやってもらえればわかると思うけど、やればやるほど楽しくなっていくゲームだと思うから、とにかくやってほしいね。

マーベラフ:辻谷さん、ありがとうございました。そして、ご馳走様でした!(いつの間にか飲み代を払っていた辻谷さん……惚れました)

 

最後の最後ですが……
「蔵出シムーン~ゲーム編」に最後までお付き合い頂きました皆様及び、ご協力頂きました関係者の皆様、この場をお借りしてお礼申し上げます。
ありがとうございました!

シムーン