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DVD第4巻、第6巻、第9巻に特典として収録予定の監督・西村純二氏とキャラデザイン・総作画監督の西村亜沙子氏による「純二と亜沙子のよくわかる!シムーン講座」。その収録後に、制作プロデューサーの松田桂一氏を交えて行われた、テンション高めな座談会の模様をお届けします。
まずは西村監督と西田さんの出会いから。
西村純二(以下、西村):東京のディーン(スタジオ・ディーン)で会ったのが最初だったかな?
西田亜沙子(以下、西田):そうですね。その前に、まずは私が、野口(和紀:スタジオ・ディーン プロデューサー)さんと、ライターの田中(哲生:企画初期に参加)さんと大阪でお会いしました。「シムーン」はその時、ホント、ペラ1枚の状態だったんですよね。それから一番最初のバージョンのキャラクターデザインをやりました。そして、3カ月後ぐらいに、東京のディーンに行って、監督と初めてお会いしたんです。その頃はまだ、“明るいシムーン”っていうノリで動いていた頃だったんですよね。
その頃から監督は、今の形の「シムーン」を思い描いていらしたんですか?
西村:いや……やっていくうちにどうとでも転んじゃうだろうと思っていました。確かに最初の方向性としては“明るいシムーン”でしたね。それはそれでOKだったんです。「自分の思い通りガンガンやっていくぞ!」という形では進めたくなかったので――。
西田さんが最初に見た監督の印象は?
西田:ええと……、ダンディ……。
西村:ダンディなんだ(苦笑)。「この天然野郎」みたいな感じだった?
西田:監督はその頃「今日からマ王!」(TV:04~06)をやってらっしゃいましたよね。あの作品は、男の子キャラがいっぱい出てくるものだったので。その次の「シムーン」で、女の子キャラばっかりのをやるというのは「反動――?!」と、思ったりもしました(大笑)。オジサンと言われてもいいような年齢の監督が、少女の思春期の物語をやるというか……モラトリアムの時期が終わる瞬間を描きたいという話をされまして、そこが私としてはかなり印象的でした。それは、私が絵として描きたいものと同じかもしれないと。
逆に監督の西田さんの最初の印象は?
西田:特に何もなかったですよね?(笑)
(一同爆笑)
西村:どうして先にそういうことを言うんだよ!(笑) そうだなぁ……オレが最初に想像していた感じを、イイ方向に30度ぐらい傾けた感じの人でした。西田さんが描いた絵だけを見ていたときは、もうちょっと神経質な感じの人かもしれないという気がしていたんですけど、ゼンゼンそんな事はなかったです。
西田:大阪の人間にそんなデリケートな物を求めちゃ駄目だ!(笑)
西村:(笑)。いや、基本的に自分の中で、大阪人というと今川(今川泰宏さん)が基準になっていて、ビジュアル的に今川より右か左か、キャラクター的に今川より右か左か……なんで(笑)。
西田:今川監督さんと比べてかよ!(大笑)
西村:(笑)。今川と比べて、絵を見て想定していたというのがまずあってね。それをイイ方向にイメージを修正したという意味だからね。ここに今川がいて30度ずれたら…………凄いよね(笑)。つまり逆を言うと、西田さんは30度ずれたら今川になるって事……?(笑)。
西田:いやぁ……「7人のナナ」(TV:02)をやっていた時に、「おっさん」「おばちゃん」みたいに呼び合っていた感じでしたから……(苦笑)。
順番としては、お2人が直接会う前に、西田さんは「シムーン」のラフに取り掛かっていた訳ですよね?
西田:そうです。キャラクターの名前はその頃は今とは違っていましたが、カイムとワポーリフの2人までは描いていました。で、女ばかりの世界というのはその頃から決まっていたんですけど、ワポーリフの役どころが実際とは全然違っていて、突然変異で生まれたのか何なのか1人だけ男の子で、その子がアーエルのナイトになるというような話だったんですよ。
西村:そのときの構成ではもっと凄い事になっていて、ワポーリフが次から次に主人公達をモノにしていくというような話もあってね。まぁ、構成アイデアのひとつで、「こんな話はどう?」っていうプランのひとつだけどね。当然、没になったけど(笑)。
最初に西田さんのラフを見て、監督はどう思われましたか?
西村:凄く良くて……自分の意見が出せなくて、ある意味寂しいものがあったくらい良かったです。本当なら、西田さんから上がってきたキャラを見て、あーだ、こーだと言って「なるほど、監督の言う通り……」みたいなやりとりがあることを期待していたんだけど、「OK~……!」みたいな(笑)。
西田:(笑)
それでは、ストーリーとキャラクターデザインは現在のものへとどう変わっていったんですか?。
西村:当然ですけど、ストーリーが変わったからといって、じゃあ、とサクッとキャラクターのデザインが変えられる訳じゃなくて、タイムラグがあってですね……。1話のコンテが終わったぐらいで、ようやくストーリーの方向転換に見合う感じでキャラクターデザインが間に合ったような感じでした。
1話のコンテが上がった段階で、加藤(敏幸)くんに処理を頼んだ時に「このキャラ(修正前の)で、絵コンテに描かれたような演出は難しいんじゃないでしょうか?」と言われたんです。演出を担当する加藤くんが、実際にフィルムの上で絵コンテのプランをまとめていかないといけないわけです。
もちろん、そういう訳にはいかないということがわかっていて、そのときには、既に西田さんにデザインの修正をやってもらっている途中だったんですけど……。現場作業と修正作業がギリギリのタイミングで動いている感じでしたね。
松田桂一(以下、松田):デザインの修正をお願いしたのは、時期的には秋だったかな?
西田:秋ですね。キャラクターデザインラフは3段階出しているんですよ。まず一番最初に出したのが1回目で、2回目は前のストーリー設定を意識して「やきもちなアーエルがどんどん成長していく」みたいな、青春物語的なアーエルをもう少し突き詰めて描いた物。そこから暫く間が空いて、次に私のところに資料が来た時には、今の「シムーン」を思わせるような、180度方向転換した世界になっていて、それで、このデザインのままじゃ駄目だというのが私自身にもわかったので、そこからまた作り始めたという感じです。
その方向性の180度の変化は、劇的に変わったんですか?
西村:いや、そのあたりは、シリーズ構成が田中くんから小山田(風狂子)さんに変わったという、非常にわかりやすい要因でして……。