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「シムーン」スタッフが今だから語れる舞台裏を明かす「蔵出シムーン」の連載もいよいよファイナル!
最後を飾る監督&ライター編では、監督とともライター・西村ジュンジとしても活躍した西村監督と、シナリオライターの岡田磨里さんの登場です。
西村監督のシナリオライターとしてのデビューは今回が初めてですか?
西村純二監督(以下、西村):いや。実は「逮捕しちゃうぞ」のワンダフル版で1話7分の奴を2本、やったことがあります。その後「南の島の小さな飛行機 バーディー」の原作作りから関わっていたので、そのアニメのシナリオもやっています。ただ、30分物の作品をやったのは今回の「シムーン」が初めてですね。
「シムーン」で監督としてだけでなく、シナリオライターとしても作品に関わろうとしたのはどうしてでしょうか?
西村:キャラクターにしゃべらせたい台詞が、自分の中にいっぱい溜まってきたんですよ。それが一番の理由ですね。それを、ライターさんにいちいち「この台詞をしゃべらせてくれ」というわけにはいかないだろうと。あとは、自分は監督として原作作りから関わっているので、状況的にもやれる感じだったんですよね。
岡田さんが「シムーン」の依頼を受けたのは、いつ頃ですか?
岡田磨里(以下、岡田):話数的には、11話の脚本が進んでいたころかな……? その前に、なんとなくお話はありました。「松田(プロデューサー)から連絡くるかもよん」とか言われて(苦笑)。
「シムーン」の前はディーンとはどういった作品を?
岡田:「シムーン」の前は「今日からマ王!」を西村監督と一緒にやっていました。それ以前だと「北へ。」がディーンさんとは最初のお仕事ですね。
岡田さんが西村監督と一緒に仕事をされたのは「今日からマ王!」だったわけですけど、「今日からマ王!」の時の西村監督は、どんな感じでしたか?
岡田:(笑)
西村:突然笑い出してどうする(笑)。
岡田:ぶっちゃけて仲悪かったんです(笑)。西村監督に「君みたいなのが、この先やっていけると思うな」って言われたりとか(笑)。
(一同・驚愕)
西村:死ぬほど極端に言うな……(笑)。
(一同・笑)
岡田:まぁ、けっこうメチャクチャやってしまったので、西村さんに「大人な対応を学びなさい」といろいろ教えていただいた感じです(苦笑)。
そんなやりとりがあったとすると「今日からマ王!」はあまり関われなかった?
岡田:いえ。思うぞんぶん、やらせていただきました。
西村:最初から脚本のローテーションに入って、最後までいましたよね?
岡田:うん。いたいた。
逆に、西村監督からその頃の岡田さんのイメージを教えていただけますか?
西村:えっとー……“わがままプー”かな?(笑)
(一同・笑)
西村:そんな感じで、変な話は岡田さんにやってもらっていましたね。「今日からマ王!」は半分ぐらいがアニメオリジナルなエピソードだったんです。原作そのままのエピソードは、当然、原作の展開になるわけですけど、そうでないもの、土台だけあって「後は好きにしてください」というのも多かったですね。「今日からマ王!」は世界観の幅が広く、基本的に“なんでもあり”なんですよ。なので、その幅は、構成の面出(明美)さんに監視しててもらって(笑)、岡田さんには「右の端と左の端をお願いします」と。
岡田:(笑)
西村:すっごく面白かったですね。岡田さんも自覚していると思うけど、普通だったら採用されないようなネタを出してくるんですよ。
岡田:むふふふ……(笑)
西村:時々打合せしているときに眠かったりすると、オレは「そのネタ、イイよ」とか言ったりするんですよ。
(一同・爆笑)
それじゃあ、そのとき眠くなかったら……?
西村:当然ダメ(笑)。たまたま眠かったときだから、「OK、そのネタでお願いします」みたいな(笑)。「今日からマ王!」のシリーズ構成だった面出(明美)さんにも寛大に(笑)接していただいて、「監督がイイならいっかー」「監督、ケツ拭けー!」みたいな(笑)。そんな感じで、割りとラフな脚本の作りだったんですけど、すごく楽しかったんです。岡田さんには、そういう端々のエピソードをやってもらって、「今日からマ王!」自体の世界観の幅が増えたし、シリーズ的にも「あ、そういうのもあるんだ!」というところで、他の話の深みが見えてきますし。本当はとても良かったんですよ。
それでは、「シムーン」のライターに岡田さんが加わるというお話を聞いた時には?
西村:たまたま、山海塾(天児牛大主宰の舞踏カンパニー)の公演があってですね。「今日からマ王!」の音楽をやっている吉川(洋一郎)さんて方が、山海塾の音楽もやっていて、吉川さんに招待されていたので、岡田さんを誘ったんです。
岡田:その頃にはお互い、微妙な歩み寄りをみせていたんです(笑)。ケンカしながら仲はいい、みたいな。
西村:それでその時に「『シムーン』のシナリオの後半を頼みたいんだけど」と話をしたんです。「ただ、条件がある。ライターは岡田さんとオレの2人しかいない。で、オレが新人だ、と。それでいいか?」と。
岡田:その時(山海塾の公演時)は、具体的に何の作品かは教えてもらえなかったんですよ。「シムーン」のテレビ放映も始まっていたという状態で、ちょうど私が「シムーン」のホームページを見ていたときだったんですよね。「面白そうなのやってるなぁ」って思って、西田さんの絵にもすごくグッと来ちゃって、「こういう作品に参加させてほしいなぁ」と思っていたころでした。監督に誘われた作品が「シムーン」だったらいいな、と思ってました。
それでは、依頼された作品が「シムーン」だと分かった後は、悩まず引き受けられたんですか?
岡田:でも、状況的に悩みましたね。
西村:多くは語れないですけど、岡田さんには、何か周りにいっぱい頭下げてもらって、いろいろ大変だったらしいです……。
岡田:(苦笑)
西村:受けていただいたことに、それはもう、とても感謝しております……!
実際に引き受けることになり、改めて「シムーン」の資料などを見たときの感想は?
岡田:私が入ったときには、既に何話かフィルムが出来ているという素晴らしい状態!(笑)だったので。……あり得ない状態ですよね。初めて観たときに「これは素晴らしい!」って素直に思いました。想像以上に面白くて、ちょっとびっくりしました。